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乳加工の歴史

始まりは中央アジアから
 約1万年前の中央アジアの草原地帯で、家畜の乳が加工品として利用され始めたようです。搾った乳を保存していたら偶然、乳酸菌による乳酸発酵が起こり、上層がホエー(乳清)、下層はヨーグルトとなったのが始まりと考えられています。

 やがて、クリーム(脂肪層)を羊の皮袋に入れてかき混ぜ、バターに加工するようになりました。ヨーグルトはそのまま食べたり、塩を加えて固め、乾燥させて保存食としていました。これはチーズの原型です。

 牧畜の伝来とともに、東はインドやモンゴル、西はヨーロッパ、南はアフリカへと伝わっていったと考えられています。紀元前4,000年頃の古代エジプトでは、乳の利用を描いた壁画が残されています。

 現在主流となっているのは、ヨーロッパ流の乳加工品です。すでに旧約聖書のなかにはレンネット(凝乳酵素剤)を利用したチーズづくりが示唆されていますが、現在のような多彩なチーズが現れ始めたのは、ルネッサンスの幕開けとともに、資本主義が芽生えた頃からのようです。


意外に古い、日本の乳加工品の祖
 日本の乳利用は、帰化人である智聡の息子、善那(福常)が孝徳天皇に牛の乳を献上したのが始まりといわれています。般若経の仏典には、悟りを開いた境地とは醍醐のようなものである、と記されています。醍醐とは現在のチーズにあたるもので、「醍醐味」の語源にもなっています。

 仏教思想の広がりとともに肉食はタブー視されるようになりました。ですが乳加工品に関しては、飛鳥時代から平安時代まで、貴族階級では食べられていたようです。しかし武家の台頭とともに、乳加工品も一時期姿を消すこととなりました。

それでもまだまだ、日本での歴史
 ふたたび乳加工品が日本史上に現れたのは、江戸時代になってからです。日本で初めて、牛乳の専門書「白牛酪考」が発行されました。なかには「黄門公はもとめて毎年2頭の乳をとり、それで醍醐をつくった」と記されています。

 また八代将軍吉宗は、オランダ人馬術教師、ヘンドリック・ゲーズルリングの勧めで、安房嶺岡(現在の千葉県房総南端)で酪農を始めたことも記録に残っています。しかしこの時代でも、乳加工品は庶民の口に入るものではありませんでした。

 一般に乳利用が広まったのは明治時代に入ってからです。北海道拓殖事業の一つとして酪農が導入され、国産チーズの試作が明治8年に始まりました。
といっても、実際に市場に出回り始めたのは昭和13年頃、本格的に流通するようになったのは、戦後になってからのことです。