化学物質の残留も厳しくチェック |
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家畜の飼料の安全性について |
「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」(飼料安全法)によって、飼料添加物、飼料の製造法、使用、保存、表示の基準、飼料の規格の設定が定められています。
抗菌性物質(抗生物質、サルファ剤)が食品に残留すると、薬剤耐性菌が出現し、その食品を食べた人の健康に直接、間接的に色々な影響があります。そのため、抗菌性物質の使用に関しては、飼料安全法に基づく「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」で、規定しています。
また、毒性の強い農薬が使われた飼料を家畜が食べると、農薬が移行残留する可能性があります。そのため、「飼料安全法」のほか、「農薬取締法」によって、牧草の育成過程における農薬の適性使用と、家畜の飼育過程における飼料の適性使用の周知徹底を行うほか、「食品衛生法」に基づく指導が行われます。DDT、ディルドリンなどの残留農薬については、暫定基準値が定められました。
麦やとうもろこしの輸入飼料に使用されるケースが多い、収穫後に使用される殺虫剤や殺菌剤、くん蒸剤(ポストハーベスト)にも残留問題があります。 |
家畜の成長過程に投与する化学物質の規定 |
家畜の成長や健康保持のために医薬品が使用される際には、残留しないよう、薬事法に基づく「動物用医薬品規則」に沿って、獣医師の処方せんまたは指示が必要です。医薬品の残留については、「食品衛生法」に基づく監視が行われます。
ホルモン剤には、家畜の肉質をやわらかくし、肉づきをよくし、肥育期間を短縮、飼料効率を高める作用があります。しかし、合成ホルモン剤の「ジエチルスチルべステロール」のように、ヒトの流産防止効果があるものの、これを使用した母体から生まれた女児の発ガン率が異常に高いという報告もあります。
そこで、ホルモン剤の家畜への投与については、各国は異なる立場をとっています。日本では、合成ホルモン剤の使用は禁止されており、今後は天然ホルモン剤についても自主規制する方向です。EUでは、ホルモン剤の家畜への投与を禁止し、ホルモン剤を使用したアメリカ産牛肉の輸入を禁止しています。
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流通段階における動物性医薬品の残留基準 |
食肉の流通販売段階における動物用医薬品の残留規制については、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」で、以下のように規定しています。
1. 食品の成分規格で定めるものを除く、全ての抗生物質と、食品添加物を除く全ての合成抗菌剤(サルファ剤など)を含有してはならない
2. 動物用医薬品(抗生物質、合成抗菌剤、内寄生虫用剤、ホルモン剤の11品目)は、食品の成分規格で基準値が定められているものは、その基準値以下でなければならない
この流通販売段階における残留規制については、厚生省の検疫所と都道府県の食肉衛生検査所(室)や保健所の食品衛生監視員が日常業務として監視している他、全国規模の残留物質モニタリング調査も実施しています。
抗生物質、合成抗菌剤の残留が認められた食肉については、食品衛生法第7条違反品として廃棄を行い、輸入禁止などの行政処分を行うと共に、国産食肉であれば、生産都道府県の農政部局などを通じ、生産者の指導を行います。
その他、放射性物質の残留についても、検疫所で検査が行われています。 |
●関連情報(冊子)
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