ホーム基礎知識食肉加工品乳加工品卵加工品

乳加工品
ヨーグルト
バター
クリームチーズ
リコッタ
モッツァレラ
カマンベール
ゴーダ
パルミジァーノ
プロセスチーズ
チーズ製造上の注意
アイスクリーム
アイスクリーム製造上の注意
 
アイスクリーム
アイスクリーム  氷菓子という意味でのルーツは意外に古く、古代ギリシャ時代から肉体を元気づける「健康食品」として用いられた記録が残されています。
 ここでは工業的な製造例を示します。基本になるのは乳や砂糖などを混ぜたミックスで、これに果 物や野菜などの副原料を加えていきます。ミックスには卵黄を使うイエローベースと、卵黄の乳化作用を補うために乳化安定剤を入れるホワイトベースがあります。


 
[バナナアイス4リットル分]
バナナ:4〜5本
[イエローベースのミックス]
牛乳:2000g
クリーム(乳脂肪分45%):300g
脱脂粉乳:80g
グラニュー糖:430g
ブドウ糖:100g
卵黄:90g


フリーザー
冷凍庫
殺菌機
ミキサー
充填機
冷蔵庫
計量器
鍋、包丁、まな板
(これらの道具の説明は下記に記載しています)
つくりかた
1. 副原料の処理をします。よく熟した台湾バナナを水洗いして皮をむき、300倍に薄めた次亜塩素酸ソーダ液に10分ほど浸します。変色しやすいので、手早くミキサーですりつぶします。その後、冷蔵庫で冷却します
2. ミックスを混合します。殺菌機または湯煎で乳を80℃に加温し、ミキサーで完全に溶かします。まず脱脂粉乳など粉末状の溶けにくいもの、次にクリーム、グラニュー糖、ブドウ糖を混ぜたもの、最後に卵黄を加えます
3. ミックスを殺菌・冷却します。殺菌機にミックスを入れ80℃で10分、殺菌し、2℃以下に急冷します
4. ミックスのエージングをします。冷却後、3〜4時間、そのまま攪拌しながらねかせます。口当たりをなめらかにするためです
5. フリーザーで攪拌、泡立てて空気を混ぜながら、凍らせていきます。タイマーで自動化されている機械が多くなっているので、あまり失敗はありません。
冷蔵庫に冷やしてあったバナナを、フリージング中に投入します
6. ミックスが固まったら、バルク(大型容器)やカップに充填します。バルクはまず冷凍庫に入れ、アイスが溶けないようにするとよいです。カップに詰める自動充填機に移し替えるときも素早く、無菌状態で行います
7. 冷凍庫に入れ、アイスクリームを硬化させます。-20℃以下ならば、2カ月は保存できます。とにかくアイスクリームは溶かさないようにしなければいけません

フリージングの工程
殺菌機からミックスを取りだす
フリーザーにミックスを入れる さらに副素材(野菜・果物など)を加える フリーザーからアイスクリームを取りだす


 アイスクリーム製造は、とにかく衛生管理に気を配らねばなりません。大腸菌群は製品中0(ゼロ)、その他の細菌数も、厳しい規制がかけられています。ですので、副原料である果 物や野菜は、傷んでいないものを使うのは当然として、加えて必ず殺菌処理します。処理法は材料によって異なります。
・加熱による殺菌
原則的にはこの方法が一番です。ですが新鮮さを大切にする素材は、熱が均一に内部までいきわたるように気をつけながら、おいしさを損ねないように処理します。
・次亜塩素酸ソーダによる殺菌
加熱すると風味が落ちる果物に使われます。冷水に次亜塩素酸ソーダを溶かした300〜400倍の溶液に10〜20分、浸します。
・エチルアルコールによる殺菌
表面張力が小さいアルコールは、部分的な殺菌に適しています。副原料に付着した水分は、よく除去してから使うことが大切です。
・酸性水による殺菌
抜群の殺菌効果があり、最近注目されています。そもそも水なので、安全性の面からも利点がありますが、機械装置が高価なので、なかなか普及しにくいのが難点です。


フリーザー:ミックスを攪拌・冷却しながら固める装置です。シリンダーの大きさで製造容量 が変わります。
1 オーバーラン(OR)を自動調整してくれる(品質を安定させやすい)
2 洗浄しやすい構造である
3 女性でも操作ができる
4 安全装置がついている などの点を考えながら、生産に無理のない大きさを選びましょう。
冷凍庫:できあがったアイスを保存します。
1 -25℃まで冷却できる
2 庫内の空気循環がある
3 出し入れしやすい構造である
などの点を考慮します。
殺菌機:ミックスを加熱殺菌する機械です。加熱殺菌だけのものから、急速冷却もエージングも、一貫して行えるものもあります。
ミキサー:原料を完全に溶解させるのに必要です。
充填機:アイスクリームをカップに充填する機械です。自動充填機を使うことが、保健所で定められている場合があります。
冷蔵庫:原料の乳やクリーム、副原料の果物などを保存します。製造最盛期の規模を考え、庫内容量 を決めましょう。
チェストフリーザー:箱形の冷凍庫で、断熱効果が高いのが特徴です。
計量器:デジタルの1kg秤、10kg秤の両方を用意するとよいでしょう。
鍋、包丁、まな板:それぞれ2つは用意しておくと便利です。


写真提供・文献引用:食品加工シリーズ1 アイスクリーム(著者:宮地寛仁、撮影者:小倉隆人 農山漁村文化協会)