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Q1:1年間に1頭の牛が食べるエサの量は?
A1:牛は草を食べて牛乳やお肉にかえることができます。そこが人間とはちがうところです。人間は草を食べても栄養にできませんが、牛は草を食べてエネルギーにすることができます。

 牛が食べるエサは「濃厚飼料(のうこうしりょう)」と「粗飼料(そしりょう)」の2種類があります。「濃厚飼料」とはトウモロコシやムギ、ダイズなどが原料で、エネルギーとなる栄養分の高いエサです。「粗飼料」は牧草やイナワラのように、エネルギーとなる栄養分が少ないものです。
 乳牛の場合、1年間で濃厚飼料を2,600kg、粗飼料の乾草(ほしくさ)を3,200kgも食べます。

<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「エサの種類」


Q2:1年間にだす牛乳の量はどのくらいなのですか?
A2:牛によってもちがいますが、平均で1年に7,000kgほどの牛乳をだします。なかには10,000kgを超える牛もいます。平均というのは、牛が1回の分娩(子供を産むこと)で牛乳をだし続ける期間を305日として、その間の乳量の平均をとっているのです。

 1リットルの牛乳パックが7,000本分とは、みなさんの家で毎日1パックの牛乳を飲むとすると、1頭の牛で19戸分の一年間の牛乳を、まかなえることになります。牛は働きものなのです。

<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「じょうずにしぼるとお乳をたくさん出してくれる【牛乳が出荷されるまで】」


Q3:鼻輪はなんのためにあるのでしょうか?
A3:犬に首輪やくさりをつけて、つないでおくのと同じで、牛の鼻輪は、ロープをつけてつないでおくためのもの。運動(散歩)するときも、鼻輪にロープをつけて引いていきます。


Q4:搾乳機(さくにゅうき)とはどんな機械なのですか?
A4:牛のオッパイをしぼる作業を「搾乳(さくにゅう)」といいます。
 昔は人間の手でしぼっていましたが、今では牧場にたくさんの牛が飼われているので、手でしぼるのは大変です。そこで、搾乳機をつかって短時間でたくさんの牛のオッパイがしぼれるようにしているのです。
<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「「搾乳」のしくみ」


Q5:日本では乳牛はなぜ白黒なのか?
A5:日本で飼われている乳牛の多くは「ホルスタイン」という、白黒まだら模様の牛です。ホルスタインは乳量が多いので、日本のなかでは一番多く飼われるようになったのです。

 このほか、褐色をした牛のジャージー、チーズづくりにむくブラウン・スイスなどもいます。
 ジャージーはホルスタインよりも体が小さく、乳量は少ないのですが、乳脂肪分が多い牛乳をだします。ジャージーの牛乳もお店で売られていることがあるので、みかけたときは飲んでみてください。

<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「白黒の牛だけじゃない【乳用牛の品種】」


Q6:岩手県と千葉県に乳牛が多いのは、なぜなのでしょうか。
牛を飼うのに、たくさんの土地が必要だからですか?
A6:全国で乳牛が飼われている数(飼養頭数:しようとうすう)をみてみると、1位 北海道、2位 岩手県、3位 千葉県、4位 栃木県…となっています。
 逆に少ない県は、1位 和歌山県、2位 福井県、3位 大阪府、4位 東京都の順です。

 牛を飼うのにはたくさんの土地が必要ですが、岩手県は面積が広いので、牧場に向いています。山間部の米がとれにくい土地を利用して牧草をつくり、牛を飼う農家が多いのです。
 また千葉県は、東京など大都市の近くで山も多いので、むかしから乳牛は多く飼われていました。牛乳はほとんどが水分で、遠くに運ぶのがたいへん、かつ傷みやすいものです。ですから、冷蔵技術(れいぞうぎじゅつ)が発達するまでは、北海道など遠くから運ぶことはできず、大都市の近くに生産地があることが、必要だったのです。

<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「経営形態とその特徴」


Q7:どうして乳牛は北の方でたくさん飼われているのでしょう?
A7:乳牛はそもそもヨーロッパなどの涼しい地方が原産なので、寒さなら平気ですが、暑さに弱いのです。ですから、南よりも北の地方の方が生活しやすいのです。
<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「防寒・防暑対策」


Q8:乳牛は、どれくらいの広さの牧場なら飼えますか?
A8:乳牛のエサとなる草を育てるため、牧場にはある程度の広さが必要になります。育てる草の種類、場所(地域)によって必要な広さもちがってきますが、平均的な広さは乳牛1頭あたり0.8から1.0ヘクタールくらいです。
 ちなみに草は、生で食べせたり、干し草にしたり、草のつけもの(サイレージ)にしたものを食べさせています。
<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「エサの種類」


Q9:お肉になる牛(肉牛)とお乳をとる牛(乳牛)では、育て方にちがいはありますか?
A9:肉牛と乳牛では、目的がちがうので、育て方も少しちがいます。

 肉牛は、おいしいお肉になるために、体のしっかりした健康な牛に育てることが大切。それに対し乳牛は、牛乳を出すため、丈夫な子牛を産んでたくさんの牛乳を出してもらえるようにしています。
 そのために農家では、健康でエサをしっかり食べてくれるように、さまざまな努力をしています。清潔な畜舎(ちくしゃ:家畜の家)で飼ったり、栄養のバランスがとれたエサ(飼料)をあげたり、病気にかかりにくいように予防接種をするなど、毎日がたくさんの工夫の連続です。

<関連リンク>
・畜産ZOO鑑((社)中央畜産会)
「ちゃんと世話をしないと病気になっちゃう【おもな病気と対策】」