日本の本格的な養豚の歴史は、明治時代にバークシャーと中ヨークシャーの肥育から始まりました。しかしこれらは、小型で脂肪が多い品種であるため、大型で脂肪が少ないランドレースや大ヨークシャーが人気品種になりました。その後、赤身肉が多いハンプシャーやデュロックが加わりました。牛と違って純粋種は少なく、肉用豚の90%以上がかれら6品種の長所を生かした交配から作られた交雑種です。
●大ヨークシャー(イギリス原産)
赤肉と脂肪の割合が適度なため、ベーコンを始め加工用全般に適しています。繁殖用品種。
● 中ヨークシャー(イギリス原産)
大型種に押されて生産量はわずかですが、肉質は良好です。
●ランドレース(デンマーク原産)
日本の豚肉生産の中心。大型で脂肪が少なく、ロースハムやベーコンを作るのに適しています。繁殖用品種。
● バークシャー(イギリス原産)
通称黒豚。単一品種で、銘柄豚として評価を集めています。きめが細かく味に深みがありますが、飼育期間が長く肉量が少ないことから値段は高めになります。
昔からの「えびの産特選黒豚」(宮城県)や「鹿児島黒豚」(鹿児島県)の他、近年は東北、関東、信州地方でも生産されています。
●デュロック、ハンプシャー、(アメリカ原産)
テーブルミート(台所ですぐ調理できるようにカットされたお肉)に向くタイプの豚。脂肪が薄く、赤身の肉質が優れています。
●交雑種
交配方法は、上記の品種のうち、3〜4品種を交雑する方法が主流ですが、その中からも銘柄豚として販売する動きが生まれています。
七尾豚肉(北海道)、宮城野ポーク(宮城県)、赤城ポーク(群馬県)、信州野豚(長野県)、伊賀豚(三重県)、豚皇(広島県)、伊予風味豚(愛媛県)、雲仙うまか豚紅葉(長崎県)などがその例です。
● SPF豚
Specific Pathogen Free(特定病原菌不在)豚の略称で、豚の発育に大きな影響を及ぼす病気(日本ではマイコプラズマ肺炎、萎縮性鼻炎、豚赤痢、オーエスキー病、トキソプラズマ病が指定されている)にかかっていないことが証明された、健康証明書付きの豚のこと。無菌豚ではありません。
肉質はやわらかく、あっさりしていて風味が良く、豚肉特有のくさみが少ないといわれています。
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